昭和は遠くなりにけり

古代に思いを馳せ、現在に雑言す。・案山子の落書・

§♪.FM 平城山(ならやま)。

 叩いた者は叩いたことを忘れるが、叩かれた者は叩かれたことを忘れない。というのが世の常でございます。
 これも古い話ですが、確か数年以上も前の葛城村チンプイ放送での御隠居と葛城山彦との会話だったと思います。

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従軍慰安婦はなかった。南京虐殺はなかった。近頃またぞろこのようなニュースが耳に入ってまいりますが、御隠居さんにはどのように聞こえるのでしょうか」
「チョト、伺ってみましょうか」

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「うーん、こりゃ歴史がくすぶっとるんじゃな」
「有ったと言えば無かったと言い、無かったと言えば有ったと言われる」
「こりゃー火種を消しとるではなく油をそそいどるんじゃよ」
「歴史とは人が創るもんなんじゃ、この水掛け論がもう歴史になってしまっとる」
「本当の火種が有ろうと無かろうと、この新しい火種がもうくすぶり始めとる」

「うん、ところでこの何々は無かったという言いまわしじゃがどっかで聞いた事はないかのう」
「ほれ、邪馬台国はなかったとか姥捨て伝説はなかったとか、聞いたことがあるじゃろ」
「そこでじゃ、随分と昔の事じゃが、ワシも姥捨て伝説について考えたことがあったでのう、チョトその話をしようかのう」

「確か、姥捨て伝説が有名になったのは『楢山節考』という小説というより、その映画のせいじゃったと思うんじゃが」
「映画の内容はもうほとんど覚えておらんが、楢山(ならやま)という言葉がどうしても頭から離れんでのう」
「あれはいつじゃったか、奈良県の地図を見とるときじゃったかのう」
奈良市木津川市との間に平城山丘陵(ならやまきゅりょう)というのがあるんじゃが、そこにはお婆の古墳がたくさんあるんじゃよ」
「先ず、神功皇后はんと日葉酢媛はんと磐之媛はん。それから、コナベ(後妻)はんとウワナベ(前妻)はんと称徳天皇はん。昔から知られているだけでもお婆の古墳が六つもあるんじゃよ」
「どうじゃ、正に姥捨て山じゃろうが」
「そこでじゃ、小説『楢山節考』の楢山が何からの発想かとふと考えたんじゃが」
「考えれば考えるほど平城山からの連想のように思えてしようがないんじゃがのう」

「それはともかく、火のない処に煙は立たんのじゃよ」
「姥捨ての風習があろうとなかろうと、小説の舞台となった信州には実際地名として姥捨て山があるんじゃよ」
南京虐殺従軍慰安婦の掴みようのない真実より、日本軍が南京に進軍したという疑いようのない事実、その軍隊が従軍慰安婦を引き連れていたという疑いようのない事実、これらの事実が醸し出す人の連想こそが歴史なんじゃよ」
「歴史を争わせたり、真実や事実をその争いの武器としてはいかんのじゃよ」
「ましてや教科書をそのための道具としてはいかんのじゃよ」
「新しい争いの歴史を残さんためにもな」

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それでは皆さん、国定教科書を前に平城山節ならぬチンプイ節を唱えましょう。

 けっこうけだらけ ねこはいだらけ
        チチンプイプイ たむろっど

結構でございました。

「なぬ、平城山節ってどういう唄かって」
「…   」
「うむ、その昔じゃ、あれは崇神天皇の御世の事じゃが」
天皇の叔父に当たる武埴安彦が反乱を起こした時の事じゃ」
「武埴安彦を討つため官軍が平城山に登って戦った時の事じゃ」
「その時に官軍が平城山の草木を踏み鳴らしたという」
「もっとも、踏み均したとも言えるそうなんじゃが」
「マア、いずれにしても平城山の地名説話なんじゃが」
「その踏みならす時に唄った歌が平城山節じゃと、ワシャそう聞いとる」
「確か、『日本書紀』にも載っとったがのう」